「この世の喜びよ」は子どもの巣立ちが寂しいお母さんに読んでほしい本

ぬ娘が部屋に残していったぬいぐるみたちいぐるみ
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読んでみた

読書が苦手な私は芥川賞作家の本なんて読んだことはありませんでした。

新聞の書評で紹介されていて、読んでみたいと思ったのはなぜなんでしょう。

読み終わった感想としては、これは私たち子育てから卒業した50代女性の心の動きを良く表現していると思ったということですね。作者は30代の詩人ですよね。作家って経験していないことでも想像力豊かに書けるものなんですね。

ネットで口コミなんか見ると、主人公を「あなた」と呼ぶ文体が新鮮でリズム感良く読み進められるというものと、くるくると展開する場面についていけないというマイナスイメージとに分かれています。

ショッピングセンターの喪服売り場で働く「あなた」が、一人フードコートにやってくる少女と言葉を交わすうちに、忘れかけていた子育て時代の懐かしい風景や感覚を思い出す話です。

とても平凡な人生にあらがうことなく、そのときそのときを生きていた。なにも華々しく特別な人生ではなくても、二人の娘を育てていたかけがえのない幸せな時間を思い出すのです。

それは何を話しているのかわからなくて苦手だったひいおばあちゃん、最後までかわいかったママ、そして「あなた」から二人の娘へと、ずっとつながっていくのです。

子育ての大変だった時代を思い出すことは、柔らかい小さな子どもたちをぎゅっと抱きしめる喜びを思い出すこと。

そして自分の平凡な人生をすべて肯定することにつながっていくと、私は思うのです。

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